輸入壁紙を中心とする特殊壁紙施工の職人グループ「Hangers」
この数年、輸入壁紙を中心とするデザイン壁紙が中古住宅のリノベーションや賃貸住宅、あるいはDIYでブームになり、それに引っ張られる形で、新築住宅やリフォームにおいても壁面を楽しむユーザーが増えてきた。インテリア業界関係者の嘆き言葉の一つだった「日本の住宅の壁面は白ばかり」という時代から、ようやく変革の時を迎えているようだ。さらに今後、デジタルプリント壁紙が住宅市場に浸透していけば、この流れはより加速していくはずだ。壁面装飾の価値が高まれば、日本伝統の和紙や織物、箔にも再びスポットが当たるだろう。
さて、現状において壁面装飾を楽しむユーザーは、DIYを切り口として興味を抱くケースが多いが、最終的にはやはりプロに頼るユーザーは多い。しかしながら特殊な壁紙は、普段無地系の壁紙を大量に貼っている職人にとって敷居は高く、十分にユーザーの要望に応えられないケースも多々見受けられる。
こうした状況を変えるべく、輸入壁紙施工、デジタルプリント壁紙施工、和紙・箔貼りのそれぞれのトップランナー3名が立ち上げ、昨年のJAPANTEXにて設立を発表した職人グループが「Hangers」(ハンガーズ)だ。
「若くて向上心のある職人はたくさんいます。しかし、特殊な材料を施工する機会はなかなかないのが現実です。
やりたいけどやれない、そういう職人たちのスキルアップのための組織をつくりたいという思いから立ち上げました」と語るのは、ハンガーズ創設者の一人である、㈲K・W・Cの君和田重則氏である。
君和田氏については本紙でも何度か紹介しているが、JAPANTEXをはじめ、さまざまな展示会やセミナーで施工実演を行っている、デジタルプリント壁紙施工の第一人者である。
サイン・ディスプレイ業界からはじまったデジタルプリント壁紙の歴史は、近年ようやくインテリア業界に入ってきたことで本格化しつつある。ところが施工面では、その勢いについていくほどの体制は整っていない。施工実演を繰り返し行ってきた君和田氏にとって、デジタルプリント壁紙のような特殊壁紙を専門で行う職人グループの必要性を感じるのは自然なことだった
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