景況感はやや悪化も約7割が消費税増税の影響はなし
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インテリア専門店の現状と今後の展望などを探ることを目的に毎年実施している「インテリア専門店アンケート」の結果を報告する。
今回主なテーマとして取り上げたのは昨年10月1日に実施された消費税増税だ。消費税増税は、その直前の掛け込み需要から増税後の消費の冷え込みまで経営に大きな影響を及ぼす出来事である。そこで、今回の消費増税においてインテリア専門店がどのような影響を受けたのか、また消費税増税前後にどのような対策を行ったのか、その効果はどうだったのか、という観点から調査を行った(回答数は107件)。
質問事項は、Q1「現在の景況感について」(単一回答)、Q2「消費税増税後の動向について」(単一回答)、Q3「消費税増税前後の対策について」(複数回答)、Q4「キャッシュレス・消費者還元事業の効果について」(単一回答)、Q5「フリーコメント」の5つ。
まず景況感については下の円グラフの通りであるが、昨年と比べて「横ばい」の割合が大きく減少した。
その一方で増えているのが「衰退している」「衰退の恐れがある」で合計して6ポイント上昇した。
ただし「繁盛している」も3ポイント上昇しており、悪化一辺倒ということではなく、現在の市場環境の流れを捉えて堅調に成長する専門店の存在も垣間見ることができる。
それを業態別(主要)に分類したのが下の表で、昨年に引き続き前売りメインにやや厳しい傾向がみられた。
「キャッシュレス・消費者還元事業」積極的に取り組むも効果は限定的
続いて消費増税前後の動向であるが、「影響はない」(67.5%)との回答がもっとも多かった。また「良い影響を受けている」(2.6%)と合わせると、実に7割が消費増税の影響を受けていないという結果だった。
「前売りメイン」「前売り+BtoB」を合算した前売り系業態(全体の45.3%)として捉えると「非常に悪い」「悪い影響を受けている」が増加するなど影響はみられるが、全体的にはこれまでの消費税とは違った傾向といえるだろう。
実際に専門店経営者に状況を伺うと、9月の掛け込み需要、10月の冷え込みはあったが、11月からは通常に戻ったとの声が多い。
ちなみに、Q1の景況感とのズレが気になるところだが、消費税増税よりも市場の変化による構造上の問題が大きいということを示しているのではないか。
次に消費税増税の前後で実施した対策は、1位「キャッシュレス・消費者還元事業への参加」(59.8%)、2位「ホームページでの集客・情報発信の強化」(37.6%)、3位「顧客向けのPR・情報発信の強化」(32.5%)、4位「SNSでの集客・情報発信の強化」、5位「特になにもしていない」(21.4%)、6位「BtoB営業の強化」(19.7%)が上位となった。
やはり政府が実施した大型の消費税増税対策である「キャッシュレス・消費者還元事業」への取り組みが多かった。一方で、政府によるもう一つの大型施策であった「次世代住宅ポイントの積極活用」については7.7%にとどまった。
さらに前売り系業態(「前売りメイン」「前売り+BtoB」)に絞ってみると、8割以上が「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加していることが分かる。この他、顧客対策、SNS活用など前売り業態の集客施策の工夫が目立っている。
そして注目の「キャッシュレス・消費者還元事業」の効果であるが、「非常に効果がある」(1.7%)、「効果がある」(29.1%)にとどまった。
同事業自体がまだまだ浸透してない現状がこうした結果を生んでいると考えられる。しかし最近はメディアに取り上げられることも増えていることから、今後消費者の意識が高まるもことも考えられるため、体制を整えておく必要はあるだろう。