「爽快度」「熟睡度」が向上 照明の重要性を実証

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 インテリア、アート、照明などすべて取り入れた最終のコーディネートが写真A~E、検証結果が下のグラフである。調査項目は複数あったが、橋本教授によれば重要な項目となるのがウエアラブルで計測した「睡眠スコア」(総合評価)と「深い睡眠」、そして主観的評価の「爽快度」と「熟睡度」という。特に実際に被験者が感じた主観的評価が重要とのことでその部分をピックアップして紹介する。
 まずモニターAはホテルのような落ち着いたモダンでナチュラルな空間を希望。グレーベージュ系の壁紙に遮光カーテン、アクセントとしてブルー系の絵画を導入した。
 結果は、3週目までは各項目とも順調に伸びたが照明の導入で下落した。これは照明が明るすぎたことが原因で、マイナスの影響も効果の実証といえる。
 モニターBはリゾートのような自然に包まれたイメージを希望。モリスの壁紙とブルーグレーのベルベットカーテンを提案、アートは運気の上がる絵画として特に奥様が気に入ったものを設置した。
 結果は概ね微増だが、アートが入った3週目に奥様の数値が大きく上がった。気に入ったものが入ることによって睡眠の質が向上した。
 モニターCはアートに馴染むデザイン重視のインテリアを希望。ボルドー色のストライプ柄の壁紙をチョイス、クッションも赤を合わせて華やかにした。
 結果は照明が入ったあとの「深い睡眠」が大きく上昇した。
 モニターDはもともと収納付きのやや高めのセミダブルベッドが並び圧迫感があったため、北欧モダンの空間の広がりが感じられるインテリアに変更、ベッドヘッドにもたれてアートを楽しむイメージを表現した。
 結果は着実に睡眠の質は向上、特に奥様の数値が良好だった。
 モニターEはナチュラルなインテリアが好みで、将来的に子供部屋に転用することも考慮、壁紙やアートなどに動物のデザインを取り入れた。またベッドサイドに読み聞かせ用の不透過シェードランプを設置した。
 結果は照明導入後に多くの項目で数値が向上するなど照明の効果が現れた。
 最後に下表は、模様替え前と3週間の変化の平均を比較した「変化率」である。「睡眠スコア」は男性が良い数値になったのが特徴的だ。また主観的評価の「爽快度」「熟睡度」が大幅に向上していることが分かる。
 今後さらなる検証が必要だが、全体として好みのインテリアが睡眠の質を向上させる可能性が十分にあることが分かった。また照明の重要性も実証されたのではないか。
 インテリア提案はリビングが中心になりがちだが、こうした科学的データをもとに寝室のインテリアコーディネートを重視していけば新たな市場が創造されるはずである。その意味で、非常に意義のあるモニター調査だったのではないか。
 なお紹介したデータはほんの一部である。詳細データに興味のある読者はPlus Art推進会に問い合わせ願いたい。