意外な場所に驚く古倉庫のギャラリー

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 江戸川区を流れる荒川のほとりに位置する小松川エリア。最寄り駅からも15分と、地の利としては決して良くはないが、その住宅街の中にあるのが古い倉庫をリノベーションしたデザインギャラリー「Objet d’art(オブジェ・デ・アート)」だ。
 ここはインテリアやファッション、アートなど、世界中から買い付けたクオリティの高いヴィンテージやアンティークの家具、インテリアオブジェ等を紹介し続けている注目のギャラリーで、他に中野区にも「ATELIER」という名でギャラリーを構えている。
 今回はこちらで、アムステルダムで活動拠点を置く「X+L(エックスアンドエル)」というデザインユニットの企画展が日本初開催された。まず会場に入ると、高い天井から吊られた大判タペストリーが目を引く。「カディ」というインドのシルクを使った一点もののファブリックも、彼らが小さな端布を丹念に縫い合わせたものだ。
 舞台美術やステージデザインをバックグラウンドに持つデザイナーお二人(サンダー・フェルフォールト氏とレオン・ファン・ボックステル氏)が織りなす世界観は、日本の侘び寂びや禅的な佇まいにも通じる静謐な空気感。自然界の美しい不完全さや、身の回りのなにげないワンシーンから着想を得て、インテリアオブジェやファブリックをハンドクラフト作品として製作している。
 ブランドマネージャーの鈴木貞則さんにお話を伺った。


 

◆日本の侘び寂びに通じるオブジェ

 「私たちはヴィンテージ家具の買い付け・リメイク、展示会の空間ディレクション、ギャラリーの運営等を行っております。ここは元倉庫だった築約60年の古い建物ですが、高い天井や明るい天窓、一階と二階フロアの佇まいなど他にない空間に惹かれ、押上にあったギャラリーからここに移ってきました。
 この空間には自分たちがリスペクトしていた『X+L』の作品が合うと感じ、出展を依頼しました。また彼らがデザインしたテーブルセットに、日本で藍染めを施したコラボレーション作品も展示しています。自然や建築など身の回りの心動くものからインスピレーションを得て、落ち着いた色合いと質感によって作品に昇華させる点など、日本古来の文化にも通じると感じます」と鈴木さんは話す。
 実際にここを訪れたお二人のデザイナーは、まさにこんな場所での開催を望んでいたと話したという。

 日本の古民家らしい太い梁の天井、すりガラス、使い込まれた木の床など、日本人であれば懐かしさがこみ上げる佇まいも、世界のアートシーンでも注目が集まっているということに改めて気づかされる。必見の空間と言えるだろう。

★「Objet d’art」
東京都江戸川区小松川4-64
★「X+L」
http://archeologie.jp/objet/

CHIENOWA コミュニケーション
代表 川崎智枝