壁装研究会 研修セミナーで考える
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一般社団法人壁装研究会は、「内装仕上工事業界におけるコンプライアンスについて」と題する研修セミナーを7月24日、アキレス㈱会議室で開催した。
内装元請・下請・一人親方・内装資材店の現場搬入者など現場に入る業者の安全性がどのように担保されるかをテーマに、特定社会保険労務士の徳永明日香氏と博多装工㈱会長の原田兼光氏が講師となり行われた。
徳永氏は「雇用契約」と「請負契約」について次のように説明した。
「雇用契約」は労働者が労働に従事し、会社(使用者)が労働に対して報酬を与えることを約束することを内容とする契約であり、労働者は会社からの指揮命令に従って仕事をする。「請負契約」は請負人が仕事の完成を約し、注文者がその結果について報酬を支払うと約束することを内容とする契約であり、請負人は注文者の指揮命令を受けることなく自らの判断で仕事をする。
契約については口頭であっても成立する。
このことから請負と認められるには、
①完成すべき仕事の内容、目的とする成果物、処理すべき業務の内容を具体的に特定していること、②業務上の独立性や業務を遂行する上での裁量があること、③就業時間等の労務管理を請負人自身が行っていること、④仕事の完成等に対する報酬又はその定め方を明確にしていること、⑤使用する機械、工具、消耗資材等は原則として請負人が用意すること、⑥仕事の依頼に対する諾否の自由があること、等。
形式上、一人親方として独立させ請負の形にすることは偽装請負として職業安定法等の労働関係法令に抵触する恐れがある。
続いて、原田氏は、
①資材の現場搬入について、「売上げの確保」の点から始められた内装材代理店による現場搬入のサービスが常態化し過剰サービスによる時間外労働、搬入時の事故など、従業員に大きな負担となっている。これをどう解決していくか。
②職人斡旋について、内装資材代理店がサービスの一環として職人の斡旋することで売り上げ確保に繋げてきたことが様々な問題を引き起こしている。
③過度な業務依頼について、得意先による現場調査・現場採寸・残材搬出・図面拾い出し等、発注者側の優位な立場を利用した過度な業務依頼にどう対応すべきか。
④将来に向けての改革の取り組みについて、の4点において問題提起をした。その上で、「我々(工事店・内装資材代理店)が流した汗は全部上の方に行っている。正当なサービスによる利益を高めるためには、コンプライアンスを遵守し業界が足並みを揃えひとつの流れを作り出すしかない。それなしには、吸い上げられる業界から脱皮することはできない」と呼びかけ、締めくくった。